中島義道『私の嫌いな10の言葉』を読む。
中島さんの本は、学生の頃読んで「世の中にはこんな考え方をする人がいるのか」といたく衝撃を受けた。
それから10年近くたち、さすがに当時のような衝撃はないものの、ここに書いてある通りのことを貫き通す著者の生き様には、すごいというよりほかにない。真似したいなんてつゆほども思わないけれど、とにかくすごい。
物事をなあなあで済ませようとすることの隠れた暴力性を暴き、画一した優しさの押し付けに抗い、かたちだけ謝ることを要求しながらときに「かたちだけ謝るな!」と罵倒する、不透明で狡猾な文化と戦う。愛想笑いと「すみません」を繰り返し、事を改めようとしない怠惰を糾弾する。それも全力で、体を張って、時間をたくさん使って。
現代のソクラテスも、違うと思った事は徹底的に突き詰め、悪いと思わないことは毒杯を仰ぐ事になっても悪いとは言わないのだ。
本書は、著者自身が述べている意地の悪さが鼻につき、思わず首を捻るような論証の矛盾も何度か目にして、そこはちょっと残念。
とはいえ、こういう生き方が太い人の文章に触れるのはとても刺激になる。
この本を読んでぜひいろいろ考えてもらいたいと思う人に限って、たとえプレゼントしたとしても読まないだろうな、と思う。耳のいたい話はできるだけ聞きたくないって人が多いものねぇ。
