«

»

5月 20 2015

ボクには世界がこう見えていた 統合失調症闘病記

統合失調症にかかってしまった著者が、発症時に「世界がどう見えていたか」を含め、病気に関すること、日常的なことや恋愛等、自らの人生を綴った作品。筆者は有名大学出身で、誰もが知る有名アニメの制作に関わっていた方。描写の細かさが尋常ではなく、強烈な精神病体験の中、これほどまでに自分のことを客観的に見て、詳細に記述できるものかと驚かされる。

社会のあり方について真剣に考え、それゆえに悩み、時には啓示のようなものを受け取ったりもする筆者。その意見や考えた方への賛否は読者によって様々だろうが、ろくに選挙にも行かない自称健常者の平均値より、精神の病はあっても筆者の方がよほど「社会人(社会に生きる人間)としてまっとうに生きていると感じる。

日本中を騒がした連続幼女誘拐殺人事件についての筆者の意見について、まさに私も同じ意見であり、興味深い記述でもあったので引用しておく。

裁判が行われなかったのだとしたら、その理由は精神鑑定で”責任能力なし”と判断されたことにほかなるまい。だとしたらそれを大きく報じて、”心神喪失者の行為は、罰しない”という刑法三九条を見直そうという世論が高まってほしかった。僕はありていに言えば「キチガイは人殺ししても罪にならない」というこの法律を一刻でも早く改正してほしいと思っている。何度も言うようだが、こんな法律があるからいつまで経っても精神障害者が白い目で見られるのだ。これは言うなれば、精神障害者は法律に基づいた社会生活を営む権利はないという差別である。どんな残虐な犯罪者だって正当な裁判を受けられるというのに、精神障害者には裁判を受ける権利さえないとは一体どういうことなのだ。(pp.307-308)